4

返り討ちにあったら、

   4.嫌いになるよとほのめかしてみなさい







今日は疲れた。いや、いつもだってすごい疲れるけど、今日は別段疲れる。
なんたって重なる音楽番組収録。歌って踊ってヘトヘトだというのに無茶ぶりをかけられるバライティ。
くたくたになった体に鞭を打ちながら、足を引きずるように宿舎になだれ込む。
真っ暗で静まり返っているから、恐らく誰もおきていないんだろう。


あーあ、ヒョンは寂しいなぁ。疲れて帰ってきてるのに癒してくれる弟が
だれ一人いないなんて悲しいなぁ。




「…………ヒョン、」

「うおわぁッ!!!!」



こっそりと心の中で不満を吐き出すと、あらなんてタイムリー。返事が返ってきたみたいに、
真っ暗で静まり返ったリビングから声が聞こえる。

調子はずれな声を思わず上げてしまい、
恐る恐るリビングの電気をつける。



「………お帰り、ヒョン」

「……た、だい、ま…」



くらりと眩暈がしたのは、ソファに正座をして座り込むソンミンがいたからだ。
あー疲れてる、ヒョンが人一倍ご老体だって知ってるよね?え?自分で言っちゃうのって?
いいんです!僕はご老体だけど天使だから!!




「いっやぁー疲れたー!さっ、ヒョンはもう寝まーす!!」

「ちょっと!!話があるんだけど!!!」

「……もう寝まーす…」

「はぁ…聞いてよヒョン。この間のアドバイス通りにね…」




始った地獄。あのね?僕の愛しのエルプ…じゃなかった、える腐は僕の立場羨ましいと思うけどさ!
考えてみてよ!誰が好き好んでメンバー同士の夜の営み関連話を聞くの!?
…………あ、今える腐達から痛すぎる視線頂きました。そんなえる腐も愛してるよ!!




「やり返してみたんだよ、お風呂入った時にね。服奪ってやったら、
『何それ誘ってるんですか?それとももう一回あのプレイやってほしいんですか?』だって…」




いやいやいや。そんな『もう参っちゃったよ』みたいに言われても。
参ってるのはこっちじゃ!!寝たいんじゃ!!

普段から老人老人っていじるけどさ、いじったら労わろうよ。
あ、これ家訓にしようかな!『いじったら労われ』。いい感じ!




「あとね、フェラするときにいっつも直前で止められるからやり返してやったら、
いつもの寸止めより百倍もどかしいのされて!
最悪!どうすればいいの!!??」

「ごめんホントは聞きたくないけど聞き捨てならない単語が入ってた気がする。」

「しかもさ、ローションなしで入れるとかいうんだよ!?慣らさないで!『泣いてる方がそそる』って…意味わかんない!」

「…うちの宿舎にはそんなオトナなもの置いてないはずなんだけどネ☆」

「入れる前もさ、『欲しいって言わないと一生このまま』とか…結局言うしかなかったし!めっちゃ恥ずかしかった!!」

「これ話すのも相当恥ずかしいと思うけどね。」

「どうすればいいの…?」




まったく噛みあってない会話をガンスルーのソンミンが、うっすらと涙の幕が張った瞳でじっと見つめてくる。

うーん、それは反則だ!ヒョンは可愛い弟の涙に超絶弱いからね!!
ていうか、もうこのシリーズ終わらせたいよ!
ヒョンいろいろ大変なんだよ!イロイロ!変態エルプなら悟れるはず!!




「キュヒョナはさ、ソンミニのこと大好きだと思うからさ、」



ヒョンだって人間だもの。あんまりこの状況には耐えていられないよね、うん。(あ、でも天使だけどね!!





「とりあえず、やるだけやってみること。」

「うん?」



















嫌いになるよとほのめかしてみなさい。




(これからはヒョンと一緒に薬局行こうね。)

















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